Name: 【妄想】逆さ撮りパンチラ018 彼女が赤いリップを手に取った理由について、僕は何も知らない
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彼女は、まっすぐに前を見て歩いていた。
まるで何かを探しているわけでもなく、何かから逃げているわけでもなく、
ただ自分のテンポを保ちながら滑るように店内を進んでいく。
その姿には、あらかじめ組まれた機械のような正確さと、詩の一節のような曖昧さが同時に混在していた。
彼女の手には一本のリップスティックがあった。
赤い、それでいてどこか落ち着いた色味の。
たぶん、彼女はそれを買うつもりだったのだろう。
でも、もしかするとそれはただの通過儀礼かもしれない。
人生のある種の儀式。僕はそう思った。

彼女は黒いワンピースを着ていた。
それは夏の軽やかさを保ちつつ、どこか断固とした意思のようなものを感じさせる装いだった。
後ろでまとめられた髪と、華奢な首筋に沿った小さなネックレスの光が、
彼女の中にある静謐な時間を照らしているようだった。
周囲には色とりどりの商品があふれていた。
化粧品、文房具、日用品。
そうしたもののすべてが彼女にとってはただの背景だった。
彼女の世界には、その中心に一本のリップと、彼女自身の時間だけが存在していたのだ。

僕は彼女のことを何ひとつ知らない。
名前も、どこから来て、どこへ向かっているのかも。
でも彼女の横顔を見た瞬間、なぜだか少しだけ悲しくなった。
理由は分からなかった。
ただ、それは世界のどこかにある物語の断片を見つけてしまったような、そんな気持ちだった。
彼女は何かを終わらせようとしていたのかもしれないし、あるいは何かを始めようとしていたのかもしれない。
どちらにせよ、それは彼女だけの物語だった。
そして、僕にはそれを見届けることしかできなかった。

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サイズ：2454×1920(画像によりサイズ違いあり)