Name: 【妄想】逆さ撮りパンチラ024 ピンクの鞄と三冊の本、そして失われた午後の断片について
SKU: 231262
Price: 500 JPY
Availability: InStock

彼女が立っていたのは、デパートの文具売り場と書籍コーナーの境目だった。
そこには空調の風と、ささやかなクラシック音楽と、
人々の足音が交差する微妙な静寂が漂っていた。
彼女は白いワンピースに咲いたような花の刺繍と、手に抱えた三冊の文庫本、
そしてピンク色のバッグを持っていた。
僕は、その色彩の取り合わせに一瞬で引き込まれてしまった。

人は時に、明確な目的もなく何かを手に取ることがある。
あるいは、ほんの数秒前の感情が、その行動を導いてしまうこともある。
彼女の腕の中にあった本は、そんな偶然の連続のようにも見えた。
一冊は実用的な自己啓発書、一冊は恋愛小説、
もう一冊はタイトルが擦り切れて読めないくらい古びたもので、
それらの本は、彼女の内面の地層をそっと覗き込むような手がかりだった。

彼女は少し口を結び、視線を宙に浮かせていた。
その目は、現在に焦点を合わせているようでいて、
実際はもっと遠く、もう存在しない時間を見ているようにも感じられた。
誰かを待っているのか、それとも何かを思い出しているのか。
たぶん彼女自身も、その違いには気づいていないのだろう。

時折、誰かの人生にほんのわずかに交差する瞬間がある。
交差点で隣り合ったり、本屋の棚の前で同じ本に手を伸ばしたり、
エレベーターで同じ階を押したり。
そんな些細な重なりが、僕たちの中に静かに波紋を残す。
そして、彼女はまさにその「重なり」の真っ只中にいた。
見知らぬ誰かの記憶に、名前も知らぬまま残る人。

僕は何も声をかけなかったし、たぶんそれでよかったのだと思う。
彼女の中で完結している「物語」に、僕が不用意に入り込むことはできない。
僕はただ、その場に立ち尽くし、彼女という風景の一部になった。
そして彼女が少しだけ首をかしげ、視線を手元の本へと戻した瞬間、
すべての時間が再び動き出した。

午後の光が天井の蛍光灯に負けそうになりながらも、確かに彼女の肩先に触れていた。
まるでそれが、過ぎ去った何かをそっと抱きしめるように。

非日常の世界をぜひお楽しみください。
枚数：5枚
サイズ：2343×1920(画像によりサイズ違いあり)